Bruce Springsteen - Long Walk Home
Bruce Springsteen - Long Walk Home
労働者階級の報われない生活や病んだアメリカについて歌い、仲間たちとの絆を大切にしている硬派ロックンローラー。――ブルース・スプリングスティーンに対し、人々が思い描くイメージはこういったものだろう。そんな歌詞の面で語られることの多いスプリングスティーンであるが、音楽的な側面もより注目されてしかるべきだ。彼の作品には、過去のロック/ポップス/R&Bの遺産が最良の形で息づいている。つまり、フィル・スペクター、ロイ・オービソン、ボブ・ディランといった自分のヒーローたちに対する熱いオマージュが、サウンドにちりばめられているのだ。「ハングリー・ハート」ではウォール・オブ・サウンドを、「凍てついた十番街」ではスタックス・ソウル・スタイルを、「バッドランド」ではモータウンの頭打ちビートを、といった具合に……。また、ニューヨーク・パンクの女王パティ・スミスの代表曲「ビコーズ・ザ・ナイト」は、スプリングスティーンとの共作曲であるという事実。猥褻ラップ・グループ、ザ・2ライヴ・クルーのアルバムに『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』のジャケット使用を許可、そして自らの作品でもラップを披露してみせる。 ――など、斬新なものに対する許容量の広さも魅力的だ。95年には、フォーク・アルバム『ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード』を発表しファンを驚かせたが、同じ場所に安住しないアティテュードは、真のリスペクトに値する。02年、盟友Eストリート・バンドと18年ぶりの共演を果たした力作『ザ・ライジング』をリリース。